《名誉の御身》が《賛美されし天使》のように活躍できない5つの理由

シングルカードストラテジー:《名誉の御身》

中村修平氏が公式サイトで《名誉の御身/Divinity of Pride》《賛美されし天使/Exalted Angel》を比較してる記事を見た。どちらも同じようなサイズ、マナコスト、能力を持っているから比較対象にされたのだと思うが、私にはどう考えても《名誉の御身》が《賛美されし天使》のように活躍できるとは思えない。記事の最後に中村氏も活躍できないかもしれないと書いている。これからその理由を考えていく。

理由1.環境に飛行クリーチャーがたくさんいる

《賛美されし天使l》がスタンダードで現役の頃は飛行クリーチャーがほとんどいなかったので、飛行は回避能力として信用がおけた。そのため、相手の地上クリーチャーとダメージレースをしても自分よりも相手プレイヤーのライフが早く0になることの方が多かった。

現在のスタンダードではデッキパワーの高いフェアリーやヒバリといったデッキのクリーチャーの多くが飛行を持っている。ゆえに《名誉の御身》は何も考えずに相手プレイヤーにアタックできるわけではない。《苦花/Bitterblossom》から出てくるフェアリー・ならずものトークンも行く手に立ちふさがる。

理由2.《名誉の御身》はタフネスが一回り小さい

環境の基本除去のほとんどがタフネス3までのクリーチャーを除去できることを考えると、それに耐えられるタフネス4は十分だと思えるかもしれない。しかし、クリーチャーのサイズがだんだんと大きくなってきているので、地上クリーチャーのブロックをするときにタフネス4は少々心許ない。

飛行クリーチャーが少ない環境であればタフネスはあまり関係がないが、2/2の飛行クリーチャーが多い現環境ではタフネス4と5では大きな違いが出てくる。タフネスが5あれば2/2飛行が2体いてもアタックすることが可能であるが、タフネスが4では相打ちになってしまうためアタックできなくなる。《目覚ましヒバリ/Reveillark》はパワー4であり、これとも相打ちになってしまうためアタックしにくい。

理由3.黒いというだけでは除去耐性があるとはいいにくい

《賛美されし天使》は黒い除去に対する耐性はないため、《恐怖/Terror》系の除去の対象にならない《名誉の御身》の方が除去耐性が高いというのは間違いない。しかし、《賛美されし天使》はデッキのシステムよって守られることが多い。《霊体の地滑り》やカウンターによって除去から守ることが可能だった。《名誉の御身》は白黒のきついマナ拘束によるデッキカラーの縛りもあるため、カウンターを使うことは少々難しい。

黒いからといって《不敬の命令/Profane Command》や《突風線/Squall Line》といった除去から身を守れるというわけでもない。今は白いクリーチャー除去も多いので、除去されないだろうと思うのは楽観的すぎる。

理由4.《賛美されし天使》の強さの源泉は変異を持っていることにある

6マナ4/5と5マナ4/4であれば一般的にどちらが強いかといえば5マナの方であろう。マジックの世界においては基本的にカードは軽ければ軽いほどよい。もし《賛美されし天使》が変異を持っていないとするならば、色マナが許す限り《名誉の御身》の方をみな使うだろう。

《賛美されし天使》は3マナで一応場に出すことができる。レガシーであれば《金属モックス/Chrome Mox》と《古えの墳墓/Ancient Tomb》を使って1ターン目からプレイすることすら可能だ。そして次のターンには表になってアタックすることができる。ここまでマナ加速しなくても3ターン目に変異でプレイ、4ターン目にアタックという流れができるので、《賛美されし天使》はビートダウンデッキにもよく使われている。白ウィニーの切り札としてもよく使われていた。

コントロールデッキにおいても《賛美されし天使》は変異でプレイされることがほとんどだ。本領を発揮するには3+4マナで普通にプレイするよりも1マナ多く必要になるが、それを上回るメリットがあるからだ。マナの分割払いができるということは、カウンターなどのマナを残しやすいということ。6マナ払って普通にプレイすればどうしてもスキができてしまうし、カウンターにも引っかかりやすい。変異でプレイの3マナであればこれらを軽減しやすい。

《名誉の御身/Divinity of Pride》は普通に5マナ払ってプレイすることしかできない。これはビートダウンにとっては少々マナコストが高い。しかもこのマナは白か黒でなければならない。この制限はデッキの幅を狭めることにつながり、白・黒がらみのコントロールデッキでしか使うことはできないだろう。

理由5.白にも黒にもすでにフィニッシャーが存在する

白には《黄昏の番人/Twilight Shepherd》、黒には《妖精の女王、ウーナ/Oona, Queen of the Fae》という大型の飛行クリーチャーがいる。どちらも非常に制圧力の高いクリーチャーである。しかし、カードに書かれていることが何かおかしいとさえ思えるこれらのクリーチャーでさえ、今のスタンダードではあまり使われていない。《名誉の御身》がこの2枚を差し置いて使われるかというとはなはだ疑問である。

結論.《名誉の御身》はとても強いクリーチャーであることには間違いないが、環境的な面も考慮すると使われない

パワー4の飛行絆魂は間違いなく強い。これは《賛美されし天使》が証明している。デッキによってはこれ1枚で相手を黙らせることも可能だろう。しかし、《名誉の御身》だけでは勝ちきれない相手というものも多数存在しているのが今のスタンダードの現状である。大型の飛行クリーチャーさえも打ち落とせる《雲打ち /Cloudthresher》というクリーチャーもいるのだ。よって《名誉の御身》が大活躍することはないと思われる。

もし《賛美されし天使》が今使えたとしても、昔ほどの活躍はできないだろう。《恐怖》や《叫び大口/Shriekmaw》ですぐに落ちてしまうことが予想できる。カードというものは環境によって強くも弱くもなるということだ。

個人的に《賛美されし天使》は大好きなカードなので、似た効果を持つ《名誉の御身》もぜひとも使ってみたいところなのだが、環境的にあまり活躍できそうもない。それが本当に残念でならない。

《名誉の御身》が《賛美されし天使》のように活躍できない5つの理由」への1件のフィードバック

  1. 《名誉の御身》が《賛美されし天使》のように活躍できない5つの理由

    (雑草の萌芽より) どう考えても《名誉の御身/Divinity of Pride》が活躍するビジョンがうまく見えないんですよね。とても残念なことに。

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